2020年8月中旬からエンジニアとして働いてきました。1年間あっという間でしたが、キリのいいタイミングなので色々振り返りたいと思います。
コンセプト
- 自分自身のための振り返り
- 異業種からエンジニア転職興味ある人にむけて、転職後のサンプル紹介
- 同じように異業種転職した人とのコミュニケーション
- 若輩に目を向けてくれてるシニアエンジニアに向けてのレポート
何を書く
- 1年間やってきての感想
- 業界を変えて感じたこと
- 転職してみての雑感
- 今後の抱負
前提
私自身について
異業種転職といっても範囲が広いので、ざっくり背景を記載します。詳細は過去記事にあるのでもし興味があったら読んでみてください。
- 薬を作る研究をしてた(製薬、薬学修士)
- プログラミングに興味がでて1年勉強した
- 医療ITをやってるベンチャーに転職した
会社について
医療に役立つプロダクト開発(いろいろ模索中なのでふわっとした表現です)や医療データの受託解析がお仕事です。
創業3年弱、エンジニアの正社員は私1人(え?)で、アルバイトや業務委託を入れて10人弱くらいです。まさにベンチャー企業という規模感だと思います。
1年間やってきての感想
とても楽しいです。
業務的なこと
業務としては、ベンチャーらしく広く浅く色々やってきたかなと思います。今の所、何か専門性を高めるまえに、まずは広く見て回りたいという気持ちなので、自身の考え的にもちょうどいい感じでした。
FlaskでAPI実装したり、AthenaやRedShift使って分析したり、医療データの前処理したり、統計解析やデータサイエンス的なお仕事もやってきました。フロントエンドは全く触らなかったです。(TypeScript大分忘れてしまったかもしれないです)
前職でPL/PM的な仕事を経験していた & 正社員私1人というのもあって、何も分からない状態でPJのリードにも取り組みました。技術的なことはさっぱりですが、お客さんとの調整やスケジュール管理に関してはだましだましやれたかなと思います。なお、技術面で頼りになる学生さんや業務委託の方がいてくれなかったら、確実に詰んでいました。(この業界の若い人すげぇというのは本当にすげぇと思います)
新規プロダクト開発(検討)の一貫で諸々の調査や、病院やクリニックの先生・看護師へのヒアリングの機会もありました。前職で薬の研究をしていましたが、臨床現場からはかなり離れていて、医師とお話をする機会は0だったので、臨床周りのお話を聞けるのはとても興味深かったです。
ところでこうしたヒアリングをいくつか営業メンバーと一緒にやったのですが、感動するくらいパワーがあってすごかったです。全然職種の違うメンバーと近くで仕事ができるのはとても面白いですね。
エンジニア組織的なこと
チームのための仕組みづくりにも試行錯誤しながら取り組んできました。
ペーペーが何をほざいているんだという意見も多分にあると思いますし、私自身そう思いますが、やるしかない状況だったので仕方ないと思いたいです。
正社員が未経験エンジニア1人という時点で察しがつくかと思いますが、恐らくエンジニアチームとしてはかなり未熟なんだと思います。正直入社時点で、おや?と思うようなところも結構ありました。
他のエンジニアの方はとても頼りになる方ばかりですが、副業で稼働時間も多くない分、やはりチーム作りみたいなところまでやってくださる方はいません(好き勝手やるのもどうかという遠慮もあると思います)。
ただ、皆さんとてもアクティブでいい人ばかりで、チームとしてなにか取り組んでいくことにとても積極的で、色々と意見・アドバイスももらえました。
分からないなりに、他社さんの組織紹介をみたり、調べて、チームとして効率的に動くための仕組みを提案・相談・実践し、testやformatter、pre-commitの活用など、小さく導入できて効果を感じやすそうなところを整備してきました。
本音を言うと、だれかが敷いてくれた高速道路を走らせてもらいたい気持ちもあるのですが、チームで色々相談しながら、仕組みを作っていくこと自体はとても面白いので、これはこれで良かったかなと思います。(将来シニアエンジニアが入ってきてなんだこのイケてない仕組みは!?とならないように気をつけたいです)
長々書きましたが、チームで開発するのはとても楽しいです(最大5人程度ですが)。いろんな考えや実装に触れられますし、チームで効率的に動くためにどういった方法がいいのか考える機会それ自体も、どこか研究に近い行為で面白いです。
プライベート的なこと
エンジニア転職したら、仕事終わりも土日も勉強しないとダメみたいな論調がありますね。この辺実際どうだったのか?というところを少しだけ紹介しておきます。
私の場合、入社して半年くらいは、土日もプログラムを書いていました(あるいはそれ関連の本を読む)。平日も夜遅くまで色々やっていたと思います。仕事の実装をすることもたまにありました。
ただ、これは義務感とかやらないと終わらない・できないといった理由ではなくて、単純に面白くて止まらなかっただけなので、この時間を完全にプライベートタイムにしていたとして、仕事が終わらなかったかと言うと決してそんなことはなかったかなと思います。
現に、あまりに家庭を放置しすぎてマズイと気づいてからは、しっかりプライベート(家庭)の時間を取るようにしていますが、今の所お仕事に影響は出てないと思います。
今はいかに自分の趣味と家庭のバランスをとるか日々葛藤しています。
なんだか本題とずれた気もしますが、プライベートが著しく失われたと言う感覚は私個人としてはないです。
業界変えて感じたこと
全然違うなと感じるところもあれば、すごく似ているなと感じるところもあってとても面白いです。
以下に長々と書いていますが、要約すると「新しい発見があって、自分の世界が広がる感覚があって非常に良い経験になっています。」と言う内容です。
THE主観 & 誰得情報なので、興味ない場合はスキップ推奨です。
差を感じたところ
例えば違う点でいうと、やはり製品サイクルが短いなと思いました。短いことで得られるものも多く、これは業界の魅力の一つなのかもと思いました。
入社早々から、アルバイトの学生さん & 業務委託のエンジニアさんに助けてもらいながら、1年弱(つまりほぼずっと)受託のプロジェクトを進めていました。
無事納品・検収完了して、そのシステムに顧客もついて売り上げアップに貢献できたとのことで、とても達成感のある成功体験を得られたのですが、1年でこうした経験を得られるというのはなかなか新鮮な感覚でした。
製薬業界では1年で製品が出来上がって売り上げが立つということはほぼありません。開発の期間が非常に長いので、会社の売上や利益に貢献できる(それを実感する)機会はとても少なかったです。
特にガチガチの新薬開発を担当していると、会社生活で売上に1円も貢献できないなんてこともザラにあって、この辺りに強い悩みを抱えている方もいらっしゃいました(ビジネス意識が強い or 生真面目な研究者に顕著です)。
単価が全然違うとか、サイクル短い分すぐ次を作らないといけない焦りがあるといった一面もあると思いますが、合う人にはとても良いなと思います。
こういった業界毎の性質を整理して、高校生や大学生に向いてる業界診断とかやってあげると面白いのかなとか妄想します。
似ているなと感じたところ
薬の製造とシステムの開発はすごく似ているなと感じました。
もちろん使う道具は全然違うのですが、基本的な考え方だったり、課題を抽象化して解決アプローチの一般化を試みるような姿勢はかなり共通していると思います。
具体的には品質保証の面でとても興味深い例があります。(個人的には)
薬の品質保証の考え方にQuality by Test(QbT) とQuality by Design(QbD)というものがあります。
前者(QbT)は最終的に出来上がった薬そのものに対して、いろんな視点から試験を行って品質を確認・保証するという考えで、古くから行われてきた一般的なアプローチです。かなり乱暴に言うと”終わりよければ全て良し”のような考え方です。
一方後者(QbD)は、より製造プロセスに重きをおいていて、薬を作るための製造過程1つ1つを、品質への影響も踏まえて適切にコントロールしていれば、最終的に出来上がる薬の品質も保証できると言う考え方です。いろんな背景があって、最近はこちらが重視されてきています。
上記の考え方は、システム開発で言うところのテスト駆動やCI/CDの思想に近しいのではと感じました。ユニットテスト等でシステム内部のプロセスを小さく区切り、常にチェックを行って、システム全体の品質を維持しようとする考えかたは、QbDのプロセスに重きをおいた思想に共通しているように思います。
だからどうしたという話ではあるのですが、私個人としてはとても衝撃をうけた事例です。
薬とシステムは全く違うものにも関わらず、”いかに効率よく作るか”という視点で提唱・実践されてきた思想・アプローチがかなり共通しているというのはすごいことではないでしょうか?
なんだか哲学ちっく?な話になりそうなのでこの辺で切り上げたいと思いますが、それぞれの業界をで”物を作ると言う観点で抽象化・一般化された思想”ってどんなものがあるのかというのが最近の関心毎の一つになっています。建設業界や自動車業界なども面白い思想があるかもしれないですね。もしかしたらシステム開発に応用できる新しい発見もあるかもしれません。
転職してみての雑感
総括して充実・満足しています。
1年たったばかりでこの先のことはわからないじゃないかと言われたらそれまでですが、あまり先のことを考えても仕方ないと思っている人間なので、この1年間(準備期間含めて2年)がとても充実していたのだから、十分リターンの得られた行動だったと思っています。
少なくとも前職でそのまま働いていたら絶対に得られなかったものをこの2年間で得られたと思っているので、行動してよかったと思います。
無責任に転職を煽るつもりはありませんが、1サンプルとしては転職して良かったですよと記載しておきます。
今後の抱負
しっかり技術を高めていきたいです。
だましだましPL/PM業務もやりましたが、製品を作ることにコミットするなら、やはり技術力がないとダメだと感じました。
プロジェクトを管理するにしても、チームの一員として実装にコミットするにしても、技術がなければ満足のいくクオリティをだせないと実感したので、本いっぱい読む。いろんなソースコード読む。なんか実装する。あたりを実践していく予定です。
ちなみにまだどの領域を専門にしたいかというのは全く決まらないので、もう1年くらいは興味の赴くままに色々やっていこうと思います。
他にはいろんな現場の経験を得るために副業を探してみようかと悩み中です。
まとめ
色々書いていたら結局何が言いたいの?という記事になってしまいました。
タイトルにある通り、異業種転職した人が1年後どんな感じになっているのかというサンプル紹介としてみてもらえたらと思います。
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